労働契約法改正により、派遣社員で働き続けるのか?無期雇用へ転換か?

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派遣社員で働き続けるのか

 

 

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1.派遣社員の待遇改善

2018年は、派遣社員の待遇が大きく変わる可能性があります。

 

労働契約法の一部を改正する法律は2012年にできました。

 

 

具体的には、無期労働契約への転換(同法18条)、雇止め法理の法定化(同法19条)、不合理な労働条件の禁止(同法20条)です。

これらにより、同じ派遣会社で5年以上働く派遣社員は、希望すれば、派遣元で無期雇用の社員になれます。

 

 

また、労働者派遣法も度々改正され(最終改正は2016年)、2018年9月末から3年以上同じ職場で働くには、派遣元の無期雇用か派遣先の直接雇用に切り替える必要があります。

 

 

これらの改正は、短期の就労を繰り返さざるを得ない、不安定な労働環境に属する有期社員を、雇止めで職を失うリスクから守る良い機会となるはずです。

 

であるならば、有期社員は、無期雇用への転換を希望するかと思いきや、これがなかなか進んでいません。

 

 

有期雇用から無期雇用へと希望したのは、リクルートスタッフィングでは1割、スタッフサービスでは5%、セントメディアでは3割でした。

 

 

なぜこのようなことが起きるのでしょうか。

それは、無期雇用になると、人事権が派遣会社に移り、働き先つまり職場が自由に選べなくなるのが最大の理由です。

だからといって、このまま非正規の有期社員のままでいいのでしょうか。

 

 

 

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2.労働者派遣制度とその弊害

そもそも労働者派遣制度は、1985年6月に、「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律」(労働者派遣法、と略す)が成立し、翌1986年7月に施行されました。(2012年「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」へ題名改正)

この法律が契機となり、労働者派遣制度が出来上がっていきます。

 

 

1999年12月1日に改正され、建設、港湾、警備、医療を除くすべての職種に、派遣労働者制度が認められます。

さらに、2004年3月1日に改正され、製造業の派遣が解禁されます。

 

 

1980年代、日本における非正規雇用の割合は20%台にとどまっていましたが、厚生労働省が2015年12月に発表した14年の「就業形態調査」によると、民間事業者に勤める労働者のうち非正規社員の占める割合が40.5%に達しました。

 

 

派遣労働者制度については、以下のような問題があります。

① 派遣制度の広がりによって熟練の技術者や事務員が育成されない。

② 派遣社員の状況については、他に選択肢がないためやむにやまれず派遣社員となったケースも存在する。なお、厚生労働省『就業形態の多様化に関する総合実態調査』によると派遣社員を選択した理由として最も多かったのは「正社員として働ける会社が無かったから」であり、派遣社員の51.6%が「他の就業形態に変わりたい」と回答、うち91.6%は正社員を希望している。→正規と非正規の所得格差の拡大

③ 労働者派遣法第26条で「派遣労働者を特定することを目的とする行為」は将来(最長で6ヶ月まで)における直接雇用を前提とした紹介予定派遣を除いて制限されているにもかかわらず、「職場見学」「顔合わせ」「業務確認」などの様々な呼称を用い、派遣業者が派遣先に派遣労働者を紹介して採用の可否を求める違法行為が横行している。

④「1年以上の長期間の就労を期待しつつも、契約は3ヶ月更新を要求する」など、労働者にとって不利な提示がなされている。その一方、企業からの更新拒否は平然と行われている。

 

 

そもそも労働者派遣法1998年の改正は、1994年の「日米規制改革および競争政策イニシアティブに基づく要望書」(年次改革要望書)で、アメリカから圧力を受けたのが発端です。

 

労働者派遣を認めるならば、例えばスウェーデンのように、職業訓練と失業給付を同時に受けさせ、労働者の職業能力を上げることに税金を使うべきです。

 

ちなみに、スウェーデンでは労働者は、失業退職のたびに給与が上がっている国民が大半です。

 

だからスウェーデンの一企業あたりにお平均従業員数は60人超と日本の10人未満と比べて、生産効率が高いと言えます。

 

 

あるいは、オランダのように、正社員と非正社員が仕事を分け合う、ワークシェアリングで非正社員の仕事を作る。

もしくは、ベルギーのように、失業給付期間を最長3年にする(日本は多くても300日)などです。

 

 

雇用の不安定の結果は、少子化、生涯未婚率の上昇、合計特殊出生率の低下、相対的貧困率の17%近辺までの上昇などつながるのです。

 

 

 

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3.派遣社員は無期雇用に転換へ

それゆえ、有期の派遣社員として働く人はぜひこの機会に無期雇用へ転換を済ませておきましょう。

法律がいつまた労働者に不利に改正されるかわかりません。

 

 

そもそも、無期雇用よりも有期雇用のほうが仕事が自由に選べると考える人もいるかもしれません。

しかし、それは仕事がある今だからこそ、人手不足であるといわれている今だからこそいえるのです。

 

 

直近ではアメリカトランプ政権の保護主義、米中の貿易戦争などにより景気が後退し、仕事がなくなることが考えられます。

中長期的に見れば、北朝鮮や中東情勢の地政学リスク、バックオフィス業務をAIにさせるRPA(Robotic Process Automation)が挙げられます。

 

 

これは、例えば人間に代わって複数のアプリケーションを操作したり、表示された画面の内容をソフトウェア自身が判断し、代わりに必要事項を入力します。

 

これまでスタッフの手入力で行っていた諸々の事務作業をRPAのソフトウェアがすることになるわけです。

 

 

最近、このソフトウェアを導入する企業が最近増えてきました。

こうなると、派遣社員がしていたバックオフィス業務もなくなることでしょう。

 

 

 

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4.まとめ

派遣社員は自由に選べる仕事です。

しかしそれは、仕事がある景気が良い時だけの話です。

 

いまのうちに、安定した無期雇用の社員になれる制度があるうちに、無期雇用へ契約を締結しておきましょう。

 

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5-2:思いつき

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