米朝会談はシンガポールに決まったが、拉致問題は解決に向かうのか

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米朝会談と拉致問題

 

 

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概略

2018年5月10日、米国ドナルド・トランプ大統領は、北朝鮮の最高指導者である金正恩委員長との首脳会談を、6月12日にシンガポールで開催すると発表しました。

 

会談の最大の焦点は朝鮮半島の非核化ですが、それとともに日本人拉致問題の解決をはかりたい我が国は、この機会に解決の糸口をつかめるのかどうかを考えてみたいと思います。

 

 

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両首脳のこれまで

今回の首脳会談は、平昌オリンピックをきっかけとした、南北宥和ムードで一気に具体化しました。

 

それまでトランプ大統領は、金委員長をチビのロケットマンと呼び、危険人物であるとしてツイッター上で非難し、軍事行動の可能性すら示唆してきました。

 

一方の金委員長も、米国本土へのミサイル攻撃などでの威嚇と挑発を繰り返し、緊張感の高まりは「一線」を越える寸前を指摘されるほどでした。

 

 

 

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トランプ大統領の動き

トランプ大統領の出方を考えるには、米国の外交スタンスの変化を頭に入れる必要があると思います。

 

それは、かつての「世界の警察」という立場の放棄です。

警察とは軍事力を意味しますが、軍事力の保持には多大な財政負担が必須で、これは国力の疲弊を招きかねません。

 

自国の安全保障と、財政の両立という難しい舵取りになりますが、この二律背反に大きな影響をもたらしたのがシェールガス革命です。

 

米国はこれによりエネルギー輸出国となり、中東問題に対する軍事力の必要性が急激に低下しました。

自前でエネルギーをまかなえることになれば、多額の軍事予算を使って石油の調達ルートにあたる地域の安全保障に関与する理由はなくなるからです。

 

 

財政の足を引っ張る軍事予算削減に見通しが立ちつつある中で、北朝鮮によるミサイルと核開発はそれを根底から揺さぶるものであり、断じて許すわけにいきません。

 

したがって「完全かつ検証可能で不可逆な非核化」の実現を前提に、交渉にのぞむものとみられています。

 

 

トランプ大統領は今秋中間選挙を控えており、有権者に対する外交成果として、唯一アメリカを脅かす要素であった北朝鮮の核開発とICBMを廃棄させれば、大きなアピールができることを計算に入れているでしょう。

 

 

 

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金委員長

北朝鮮の体制維持について、米国は優先しないという外交方針を明確に打ち出しています。

したがって金委員長は、国際社会による「圧力」の解除に焦点を絞るものとみられます。

 

しかし巧みな駆け引きで非核化を匂わせながら時間稼ぎをして、トランプ大統領の中間選挙の足を引っぱるなどの揺さぶりをかける可能性を考慮に入れなければなりません。

 

シンガポールでの会談に先駆けて、北朝鮮は拘束していた3人の米国人を解放しましたが、このように関係改善について明確な発信をする一方で、今回の金桂冠第一外務次官による会談中止警告のように、新たな条件の追加を仕掛けてくる可能性があり、予断を許しません。

 

 

 

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拉致被害者家族の動き

米朝会談が実現する流れとなり、拉致被害者の家族たちはいち早く動きを見せました。

 

北朝鮮による拉致問題の解決を求める「国民大集会」が、先月22日に東京都内で開かれ、こんごの動きに強い期待を示しました。

 

また横田めぐみさんの弟である横田拓也さんと、田口八重子さんの長男である飯塚耕一郎さんらは、ゴールデンウィーク中に米国を訪れ、加藤勝信拉致担当相と国連本部でのシンポジウムに出席し、国際社会に理解と連携を求めました。

 

 

 

 

政府と安倍総理

拉致問題の解決に強い意志を持って臨むとする安倍総理は4月米国を訪問し、トランプ大統領との首脳会談をおこないました。

 

席上両国は北朝鮮に対し、これまでの対応を継続していくことを確認したのに加え、安倍総理は、トランプ大統領に米朝首脳会談において拉致問題を取り上げるよう要請しました。

 

これに対してトランプ大統領は、早期解決を北朝鮮側に働きかけることを確認しています。

 

 

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まとめ

トランプ大統領は日本人拉致問題の解決をはかるよう、金委員長に働きかける予定とされるものの、我が国は会談の実現過程でその存在感を示せているとはいえません。

 

また拉致問題は非核化問題に比べると今回の会談に議題として占めるウェートは低いと言わざるをえず、多くを期待するには無理があると思います。

 

 

今回の会談に先駆けて北朝鮮は、拘束していた3人の米国人を開放するなど、融和ムードを演出しているところもありますが、我が国に対してはこれと全く違ったスタンスを示しています。

 

今月12日に北朝鮮の国営メディアは、「日本がすでに解決した拉致問題を再び持ち出すことは、朝鮮半島の平和の流れを阻もうとする愚かな行為だ」として、安倍総理を名指しで批判しています。

 

 

また13日には核開発施設の廃棄として、実験場の爆破をテレビ放映するとの発表には、日本を対象としてはいません。

 

 

このように露骨な態度で我が国への敵愾心を見せられると、拉致問題解決については楽観的な予測を持てません。

 

しかし、外交は騙し合いと妥協点の探り合いです。

北朝鮮が我が国に対してのみ殊更に冷酷な態度を示し続けているのは、なんらかのシグナルを発信していると考えることも可能です。

 

 

そうであるならば、経済支援や産業においての技術支援などを見返りにして、交渉の場を設ける可能性を探れないでしょうか。

 

国際社会による圧力一辺倒の水面下で、実際の交渉がどのレベルで進行しているのか、現段階では全く予測は不可能です。

 

しかし、拉致問題解決には誰よりも強い意志で取り組み、過去小泉政権時代には官房副長官として5人の帰国を実現させている安倍総理の手腕に、国民として切なる期待を抱かざるをえません。

 

 

追加:

2018年05月25日、発表にて、トランプ大統領が、北朝鮮の相次ぐ約束違反を理由に、朝鮮労働党委員長との首脳会談を中止した。

この先まだ先は読めない。

 

中止の報道を受け、南北朝鮮首脳の極秘会談の後、トランプ大統領は、再度6月12日に、シンガポールで、米朝首脳会談が行われることを示唆している。

なんと、猫の目のように変わるこの政治状況は、目が離せなくなっている。

 

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5-2:思いつき

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