古武道について
古武道とは?
空手、剣道、柔道などの分野はまとめると武道と呼ばれていますが、この武道は現在、スポーツに特化した現代武道と、心身の鍛錬に特化した古武道という2種類に分かれています。
現代武道を教えている道場では、スポーツが目的なので試合に多く参加していますが、古武道では試合での勝敗を目的とせず、自分に勝つことを目的としているので、試合をする流派が少なく、また、他流試合を禁止している流派も存在します。
古武道とは、文武両道を学び、武器や剛柔一体を含む総合武道とされています。
よって、三命学という学問や、短刀を使った刃物取り、刃物かわしの方法を学んだり、また、突き蹴り技の剛法体術や投げ固め技などの柔法体術も学びます。
技が広く公開されている現代武道とは反対に、古武道の道場では技や思想が門外不出となっている場合が多く、入門するには師となる者との面談が必要であって、人格的に不適切だと判断されると入門の希望を断れることもあります。
師匠から絶対の信頼を受けた者しか継承できない武道が古武道なのです。
身体の使い方とは?
それでは、武道で大切にされている身体の使い方とはを説明します。
現代武道でも古武道でもスポーツでも、優れた人はその分野に本質を見出しています。
その一つが「身体の使い方」です。
身体の使い方と言うと、動かすだけじゃないかと考えるのが簡単なのですが、動かし方にも色々あります。
例えば、座っている姿勢だとしたら、主にこういったことを注意していくことになります。
・肺を広げ、呼吸力を上げるため、肋骨を引っ込めず前に押し出す
・肩に力を入れず、肩の力で支えていた体勢を背筋の力で支えるようにする
この3 点ができるようになれば、そこから更に意識せず、自然体でこれができるようになっていくのが理想的です。
足の先や手の先には、東洋医学で言えば12 の「経絡」という神経の束のようなものが流れていると言われています。
その経絡は臓腑と繋がっているので、流れを良くすることで臓腑の動きが良くなるとされているのですが、そのため、手の先や足の先の感覚を大切にすることが重要視されています。
経絡とは気血の流れであり、医学的に言うと温めるだけも陰と陽で言えば陽の気が上がって、内臓に絡まっている絡脈に作用していきます。
もちろん温めるだけで重大な疾患が治療できるわけではないです。
しかし、経絡に対して日常的にできることと言うと、温めることなどがあります。
その次には針、灸、指圧で経絡上に365 点ある経穴というツボを刺激することです。
感覚を大切にして動くことで、身体は前向きに変わっていきます。
意外と重要な、呼吸法とは
身体を動かす時にとても重要な事として、呼吸の方法があります。
ランニングをしていても呼吸が乱れると走るのが辛くなるので、呼吸力を付けるのが身体を動か
す際に重要なことになります。
さて武道においてですが、武道では臍下丹田呼吸法という呼吸法が使われています。
・臍下丹田とは、臍(へそ)の下の丹田(下腹部)と呼ばれる部位のことで、広辞苑によると「臍下丹田に力を入れると健康と勇気を得る」と説明されています。
・昔から「腰で動け」とか「下っ腹に力を入れろ」などと言われていますが、これらは全て“臍下丹田を中心に動作しろ”という意味です。
・丹田呼吸法の原型は今から2500年程前にお釈迦様が悟りを開かれたときに展開されたと言われています。
・このように、臍下丹田呼吸法は昔から非常に重要視されていたことがわかります。
丹田とは身体の胴体にある気の集まる場所のことで、上丹田と中丹田と下丹田があり、臍下丹田は下丹田になります。
場所は、臍の下の腹と背中の間(下腹部)あたりです。
臍下丹田呼吸法は、空気を吸う時に腹を凹ませ、空気を吐く時に腹を膨らませます。
この事で丹田に気が溜まり、心が落ち着き集中力も上がるとされています。
臍下丹田呼吸法や腹式呼吸法はとてもとても重要なのですが、基本的に一人でするのに大切なのが実は胸式呼吸法なのです。
武道をするにもスポーツをするにも、身体を動かすことは共通していて、それに大切な呼吸力には数値的な肺活量も含まれています。
酸素を一度に多く取り入れる事が出来たら、身体を動かすのが楽になっていきます。
その肺活量を増やすのが、意識的な胸式呼吸法なのです。
肋骨を限界まで広げ呼吸をすることで肺を広げることができるのですが、その量が肺活量になってきます。
肺を広げる可能領域を増やすことで、どんどん肺活量が上がっていきます。
よって、一人でできる鍛錬法として、肺を大きくすることを目的に胸式呼吸を意識してするという方法があります。
肺を広げると肺活量が上がり、肺活量を上げるには肺を広げる事が必要だからです。
理想とされているのは胸式呼吸法で空気を吸って、腹式呼吸法で息を吐くことです。
まとめ
有名な言葉ですが、武道は礼に始まり礼に終わるという言葉があります。
武道は、極端に言ってしまえば格闘技でもあるのですが、人を危険に晒す暴力と違うのは、挨拶をして、信頼関係の元に修行のために思いやりを持って攻撃し合うことなのです。
武道は勇ましいという意味ですが、男の生き方を探し求めるという意味もあります。
武道家としての正しさを持って生きることで、人にも自分にも負けることのない、厳しさや優しさを持った人格を持つことができるようになります。
人の深さを学ぶことができることも魅力ですし、純粋に自分自身のためだけに物事を学ぶことができると、結果人が自分に付いてきて、信頼し尊敬される人物になることができます。
自分に厳しく、他人に強制されず、自分のために自ら学び修行するため、武道家は日々、逃げ道を塞ぎ人としての生き方、奥深さを学ぶために厳しい稽古に励んでいるのです。
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