温泉の起源と発祥
温泉のはじまりの時期はわかっていません。
日本書紀などの書物に「天皇の温泉行幸」にまつわる記述があり、奈良時代には広く温泉の存在が知られていました。
日本は地形的に火山帯の上にあり、火山性の温泉が多いことから、歴史的に早くから温泉が知られていたと推察されます。
現在、日本の温泉地は約3000ヵ所、源泉地は約27000ヵ所あります。
温泉は日本文化の一つと言えます。
温泉の作法を知る
入浴方法
①かけ湯をする
身体が温泉に入る調整ができて、身体への負担がかかりにくくなります。
②頭と身体を洗う
共同の湯船を清潔に保つために大切です。
頭を洗ってから身体を洗うことにより、汚れを上から下へと効率的に落とせます。
③湯船に入って身体を温める
身体を奇麗にして、湯船に入ります。
のぼせないように自分のペースで身体をリラックスさせます。
④かけ湯をして身体をタオルで拭く
身体が隅々まで温まりましたら、かけ湯をします。
不特定多数の人が入った湯船の水滴を流す役割があります。
また、脱衣所に移動する時に外気による急な温度変化で、身体に負担をかけないようにする役割があります。
脱衣所に入る前にタオルで身体の水分を拭き取るマナーも忘れずに行います。
マナー
①浴槽に入る前にかけ湯
かけ湯は湯船に入る前に身体についている汗や汚れを取る意味があります。
全ての汚れが落ちるわけではありませんが、表面上の汚れを落とすことがでます。
浴場の入り口近くに設置されていることが多く、共同で気持ちよく利用するための礼儀作法の1つです。
②タオルは湯船に入れない
入浴前の身体を洗ったタオルを湯船に入れることにより、湯船が汚れてしまいます。
③湯船のお湯で顔を洗わない
公衆浴場では、他人と入浴するため衛生的に顔を洗うことはおすすめしません。
傷口から雑菌が入る恐れがあるからです。
洗い場のお湯を使います。
④お風呂から上がるときは身体を拭く
脱衣所はお風呂に入る方が利用する場所です。
特にこれからお風呂に入る人は、脱衣所の足場が濡れていると足が冷たく不快な気持になります。
温泉の種類と効能
・単純泉:【主な効能】神経痛改善促進です。
・二酸化炭素泉:【主な効能】皮膚病改善促進です。
・塩化物水:【主な効能】冷え性改善促進です。
・炭酸水素塩泉:【主な効能】高血圧改善促進です。
・含鉄泉:【主な効能】貧血改善促進です。
・含銅鉄泉:【主な効能】貧血改善促進です。
・含アルミニウム泉:【主な効能】慢性の皮膚病改善促進です。
・含よう素泉:【主な効能】高コレステロール血症の改善促進です。
・硫酸塩泉:【主な効能】傷の回復促進です。
・酸性泉:【主な効能】慢性の皮膚病改善促進です。
・硫黄泉:【主な効能】金属中毒の改善促進です。
・放射能泉:【主な効能】痛風改善促進です。
全国効能の高い名水質温泉3選
1位:草津温泉
〇所在地
群馬県草津町
〇宿・施設
温泉宿は約100軒あります。共同浴場18ヵ所、公共温泉入浴施設は3ヵ所あります。
〇水質
酸性泉、硫黄泉、アルミニウム
特徴
・日本三名泉の1つです。
・日本1位の全自然湧水量を誇ります。(毎分約3万2000L)
・日本1位の殺菌力のある源泉かけ流しの温泉です。
歴史
草津温泉を発見したのは日本武尊、行基、源頼朝などの伝説があります。
最古の文章記録は「吾妻鏡」の中に建久4年(1193年)に源頼朝が浅間山で巻狩りを行った際に、草津に潜んでいた細野氏を見出し、湯元の姓を与えて草津の地頭としたとされています。
湯治の記録は文明4年(1472年)で蓮如が一ヵ月間逗留し、多くの教えを残したとされています。
明治時代にドイツ人医師のベルツにより、草津温泉の効能が紹介されて世界的に有名になりました。
2位:別府温泉郷
〇所在地
大分県別府市
〇宿・施設
温泉宿は約400軒あります。共同湯をはじめ入浴施設が多数あります。
〇水質
単純泉、二酸化炭素泉、塩化物水、炭酸水素塩泉、含鉄泉、含銅鉄泉、含アルミニウム泉、
含よう素泉、硫酸塩泉、酸性泉、硫黄泉
特徴
・源泉数が2217ヵ所で世界1位です。
・温泉湧出量が世界2位です。(毎分約8万7360L)
・11種類の泉質の内、10種類があります。
歴史
8世紀初め頃の書物である「伊予風土記」によると、神様が別府温泉で湯治をしたとの記述があります。
奈良時代の書物である「豊後国風土記」にも血の池地獄などの記述があります。
鎌倉時代には元寇の役で傷を負った武士を癒すために療養所を造ったとの記録があります。
江戸時代の「豊国紀行」にも温泉の賑わいが記述されています。
明治時代に入ると掘削技術が進み、発展して全国的に有名になりました。
3位:湯の峰温泉
〇所在地
和歌山県田辺市
〇宿・施設
温泉宿は14軒あります。共同湯は2ヵ所あります。
〇水質
含硫黄炭酸水素塩泉(ナトリウム)
特徴
・日本最古にして世界遺産登録された、水質の優れたつぼ湯があります。
・熊野古道を散策することができます。
・湯筒でネットに入れた卵や野菜をゆでることができます。
歴史
湯の峰温泉は4世紀頃に熊野の国造、大阿刀足尼により発見され、後に歴代上皇の熊野御幸により、その名を全国に知らしめました。
中世の説教節には「小栗判と照手姫伝説」が残り、古くから熊野詣の旅人達の湯垢離場と休息の場として知られていました。
1963年に厚生労働省により国民保養温泉地に指定されました。
2004年に紀伊山地の霊場と参詣道の構成資産の一部として、温泉としては世界で唯一の世界遺産に登録されています。
まとめ
温泉は、子供からお年寄りまでの全世代が楽しめる日本人の癒しの場です。
忙しい毎日で疲労が蓄積してしまった時でも、手軽に気分転換や疲労回復ができます。
入浴する他に景色を眺める、自然の音を聴く、温泉の匂いを嗅ぐ、産地のグルメを味わう、温泉にふれる、など様々な楽しみ方ができることも魅力です。
古くから日本人が愛し大切にして来た温泉に、大切な方と共にお出かけしてみてはいかがでしょうか。
コメント