習い事ブームについて
近年、小学校受験や中学校受験が過熱するなど、幼児教育への意識が高まっています。
特に、子供の将来への投資と位置付け、幼い頃から多くの習い事に通わせる世帯も多くなっている一方で、それらの支出は時に非常に大きなものとなります。
経済格差が拡大する現代社会では、その支出に見合う収入が得られていない子育て世帯も多く存在しており、各世帯の幼児教育へのスタンスを決めることは、非常に難しいものに変わってきています。
今回は、子供の習い事を検討する際のポイントを考えたいと思います。
幼児教育と習い事ブームの関わり
よく知られることですが、大リーグMLBで活躍する「イチロー選手」は幼い頃から父親の大きなバックアップを受け、野球漬けの日々を送っていたようです。
最近では卓球の「みう・みまコンビ」、将棋の「藤井プロ」など、幼いころから英才教育を受けて育ち、その分野の第一線で活躍する方も注目されています。
こういった事例からも、幼い頃からの教育に注目が集まり、その手段として、習い事を積極的に受講する世帯が増えているものと思います。
しかしながら、習い事とは、基本的に各分野の専門家がお子さんへ、そのトレーニング機会やノウハウを提供する場であり、決して安価でない費用が伴います。
それでも前述した他者の成功体験が後押しする、または、高価であるからこそ我が子にそれを与えようと努力する親御さんなどにより、この習い事ブームは、年々加速しているように感じます。
保護者としてお子さんに何を提供したいのか
習い事の良し悪し以前に、お子さんへの教育において改めて意識すべきなのは、保護者としてお子さんへどのような機会や学びを提供したいのか、という点です。
十分な意思の主張が難しい幼いお子さんに対して、多くの人がやっているから、イメージが良いからなどの理由で習い事を強いるのには賛成できません。
親として、「自分もその分野に思い入れがあり、子供と二人三脚で取り組みたい」や「ぜひ子供にはこの分野で××のような資質を養ってほしい」というような明確な意思が重要です。
そしてその意思を持つためには、自分たちが親としてお子さんに何を提供したいのか、を決めることが必要になるのです。
芸術やスポーツの分野で一流を目指すならば、幼いころからのトレーニングや良質のコーチングが必要になると思いますし、それらの分野で正しくコーチングをするには、習い事が適していると言えます。
一方で、人気のある英語学習や水泳、根強い人気の公文や習字などの分野ではどうでしょうか。
各分野で一流を目指したいというよりは、お子さんに一般教養や根気を備えてもらいたいという考えが多いのではないかと思います。
そして、ここでいう教養や根気は、これらの習い事の場でなくとも、保護者として提供することができることも多くあるのではないでしょか。
お子さんの将来への投資、という抽象的な概念で習い事を始めるのではなく、親として子供に何を提供したいのかを明確にして、その手段としての習い事として考えることが、見落とされやすい状況になっていると感じます。
家族全体として負担にならない選択を
習い事を始める際には、前述した費用面やその必要性の検討に加えて、家族環境への影響も考えるべきでしょう。
最近、「子供を週5回の習い事に通わせるために共働きになった。自分の給料は習い事への支払いや、その事による費用で無くなってしまい、習い事が保育園みたいなものです。」といったような主張を多く聞きます。
子供の習い事を機に働き始めた親御さんが、会社生活を取り戻し、お子さんも習い事に充実感を覚えているのであれば、良い選択をしたといえるでしょう。
しかしながら、親御さんも共働きが負担となり、お子さんも本当は自宅で家族と過ごしたいとしたら、どうでしょうか。
この場合、決して専門的でなくても、自宅で家族がお子さんへ教育する。
親御さんがこれまで熱中した分野でもいいですし、お子さん自身が興味を持ったものを一緒に学ぶのも良いでしょう。
最後に
ここまでで述べてきたように、社会的な動きや周りの同世代の動きに流されすぎることなく、ご家族として無理のないプランをもって教育を考えていくことが、今本当に求められていることではないでしょうか。
日本社会によくある、「右へならえ」的な発想、あるいは、押しつけの教育になっていないか考えなくてはなりません。
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