相次ぐ角界の不祥事
現在大相撲を興行している日本相撲協会の体制を指す。日本相撲協会は文部科学省所管の財団法人で、その評議員である年寄、その年寄が育成する力士・力士養成員、各部屋に所属する行司や呼出、床山、若者頭、世話人を含む。身内の者以外を「余方(よかた)」という場合もある。
元横綱日馬富士
2017年10月、鳥取のカラオケ店にて平幕貴ノ岩に暴行を加えた事件が報道されました。
この事件は、以降長い間ニュースやワイドショーで取り上げられ、様々な論争を呼び起こしました。
日馬富士はカラオケのリモコンなどを使って暴行しており、その悪質さを問われる一方で、引退することで責任を取ったことを考慮され、傷害罪での略式起訴となりましたのは報道の通りです。
日馬富士の引退で事が収まるかと思われましたが、矛先は被害者貴ノ岩の師匠である貴乃花親方へと向かいました。
「相撲協会への報告を怠った」など、傷害事件を巡る対応に問題があるとして、12月28日臨時理事会を開き、巡業部長であった貴乃花親方の理事解任を、評議会に提案することを決めました。
これを受け、評議会は2018年1月4日に貴乃花親方を理事解任しました。
この一連の報道で、週刊誌とテレビの報道では見解が違いすぎて不自然さを覚えます。
週刊誌は白鵬と相撲協会を批判しています。
【週刊文春】の見出しに「貴乃花が許せない相撲協会三悪人」とあり、【週刊新潮】には「沈黙の貴乃花が心情吐露。『本物のワルは白鵬』『私は完全にハメられた』」とあり、貴乃花親方寄りの切り口です。
一方、テレビでは貴乃花親方に批判的です。
部屋の前にカメラを構え、インターホンに応じない態度や、部屋から出てきたところを直撃して、無言を通す親方の画を何度も繰り返し報道しています。
こうなると、週刊誌を読んだ人とテレビを見た人の、この事件への印象は随分違うものになります。
春日野部屋
続いて、2018年2月24日、春日野部屋が傷害事件を隠ぺいしていたことが発覚しました。
事件は、春日野部屋に所属していた力士(23)が弟弟子の力士(22)の顔を殴り重傷を負わせたというものです。
2力士とも既に辞めているというのが春日野親方の言い分です。
しかし、被害者の元力士、矢作嵐がインタビューに答えたことで、事件の真相が見えてきます。
顔や腹に暴行を受け、大けがをしたにも関わらず、「稽古は風邪で休め」と明らかに表沙汰にしたくない様子だったそうです。
矢作嵐は部屋を脱走し、実家に逃げ帰ったところ、初めて春日野親方から「暴行があったようだ」と父親に電話がありました。
「病院に連れて行くから」と部屋に戻されたものの、整体に連れていかれ意味のない施術をされました。
矢作嵐が自分で大学病院を受診したのは、暴行を受けて実に11日後のことです。
すぐに緊急手術が行われ、入院しました。全治1年6か月と味覚障害の後遺症を言い渡されました。
このことを公表しなかったことを、春日野親方は深刻には受け止めていない、との情報もあります。
しかし、理事選では当選確実と言われていた春日野親方にとっては、最悪のタイミングで明るみにでたことになります。
そのことと関係しているか不確かではありますが、久しぶりに歯を見せて笑う貴乃花親方がカメラにおさめられたという話も出ています。
各界の近年の不祥事
2007年、時津風部屋で17歳の力士が、時津風親方と兄弟子3人に暴行され死亡しました。
後に親方の実刑判決と3人の有罪判決が下されました。
2011年、春日野親方が弟子をゴルフクラブで殴る。
被害届が出されず事件化していません。
2013年、力士が暴行され失明し、芝田山親方を提訴しましたが、和解で決着しています。
なお、芝田山親方は2010年にも、弟子を殴ったとして書類送検されています。
2016年、マネージャーを金属バットで殴って、傷害罪に問われた元熊ケ谷親方に、有罪判決が出ています。
この他にも2007年、山分親方、2008年、垣間親方、2010年、横綱朝青龍など、いずれも暴行によるものです。
まとめ
「角界の常識は我々の非常識」などと耳にしますが、この暴行事件の多さは角界では常識とされているということでしょうか。
角界はどこか謎が多いように思います。
週刊誌があそこまで突っ込んで取材をするのに対し、テレビ報道は、本質に踏み込んでいないように感じます。
例えば、日馬富士の事件では暴行の最中、他の人はどうしていたのか、それがどのような寄り合いだったのかなど、テレビでは報道されません。
明らかに相撲協会に都合の悪いことには、深追いしない体質があるようです。
その理由は定かではないにしろ、深追いすることで何か不利益が生じると考えるのが普通です。
しかし週刊誌は一部書いているところもあります。
12月7日号(11月30日発売)の【週刊新潮】では「この騒動(貴ノ岩暴行事件)の背景には八百長問題がある。
それを理解しない限り騒動の真実は見えない」といった内容の記事が出されました。
モンゴル人力士が部屋を超えて寄り集まっているのは周知の事実ですが、その内容まではそこに参加した人しか分かりません。
そこがどうも怪しいと週刊誌は嗅ぎつけたようです。
モンゴル人力士の取り組みの勝敗の考察もされました。
いよいよ疑わしいとなりましたが、証拠はありませんし、メディアも虎の尾を踏みません。
角界に広がる闇は計り知れないように思います。
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