都道府県庁の内定辞退率 60%に思うこと
就職活動での売手市場が続く中、都道府県庁の内定辞退率が60%を超えるケースもあることがわかりました。
(良い世の中になったものです。)
NHKで大学卒業程度の行政職について2016年度の内定辞退率を調べたところ、辞退率が高かったのは北海道や、東京に近い県で、このうち北海道は62.9%と5人のうち3人が内定を辞退している計算になります。
札幌市の内定辞退率は24.1%で、北海道内でありながらも大きな差が出ていることになります。
この結果について北海道庁の人事委員会事務局は、「札幌から数百キロ離れた場所に赴任することもあり、地元志向が強い学生に敬遠されたと思う。
「札幌市と北海道の両方に合格した学生が札幌市に流れた」と話しているそうです。
また、首都圏では神奈川県は38.7%、埼玉県はおよそ35%となっている一方、東京都は「10%台の後半から20%の範囲」としています。
神奈川県や埼玉県は、県内の政令指定都市と試験日が同じため内定者の奪い合いはありませんが、各県庁事務局は、「東京都や東京23区などに一定数が流れている」と話しています。
この結果から、近年の就職活動では従来から言われている「安定性」に加えて、「地元志向」がより強くなっていることがうかがえます。
日本大手企業の総合職では、日本全国、ときには海外赴任も含めての頻繁な転勤が、当たり前のものとして定着していますが、このような慣習についても、考え直す時がきているのかもしれません。
今回の記事では、企業人として転勤を繰り返すことのメリット・デメリットを考えてみたいと思います。
安定・地元 と並ぶ就活指標である「ブランド」
就職活動における「安定」・「地元」に並ぶ指標に、「ブランド」があると思います。
学生の目から見たときに、業界で名を知らない人はいない大企業の総合職というのは、海外勤務・全国転勤があることを考えても非常に魅力的です。
勿論、中には海外勤務自体を望む人もいるかと思いますが、やはり日本では国内で、自身が育った地元で生活を送りたいという人が大勢を占めていると思います。
この「ブランド」とは、「世間的に言う立派」な就職とも言い換えられます。
名のある企業に入社できることによる自己肯定の気持ちもさることながら、世間からも良い目で見て貰える、ある種無条件で信用を得られるといった、メリットにつながります。
しかしこれらの企業では前述した頻繁な転勤がついて回ることになります。この全国転勤について、メリット・デメリットを考えてみたいと思います。
全国転勤のデメリット
全国転勤のデメリットとして、まず挙げられるのが、結婚を意識した相手との交際が難しいことです。
例えば、その時の勤務エリアで異性と交際するようになっても、結婚を意識しはじめる頃に、つぎの異動と重なるケースも考えられます。
転勤すると遠距離恋愛になり、離れてしまうため、結婚を意識した相手との交際が難しいといえるでしょう。
また、全国転勤がある場合は、自分の家を持ちにくいという面もあります。
マイホームを建てたとしても、すぐに転勤が決まり、家族を残して単身赴任をするケースがあるようです。
せっかく建てたばかりの家を、賃貸に出すことになる人も少なくありません。
また、転勤をする際、住所変更の手続きや物件探し、引越しなどの手間がかかるのもデメリットです。
さらに、子どもの教育プランが立てにくいことが挙げられます。
多感な子どもにとって、何度も転校して環境が変化する生活は大変でしょう。
転校すると学校での友人と離れることや、使用している教科書や学習の進度が違うケースもあるため、子どもに何かしらの影響を与えかねません。
ここでは子供を持つ家庭を対象としたものを多く挙げていますが、未婚の場合でも人によって多種のデメリットが考えられます。
全国転勤のメリット
逆に全国転勤となった際に得られるメリットも考えてみます。
まずは、いろいろは勤務地を経験することで、自分の知らない土地で生活し、その土地を知ることができます。
大げさにいえば、転勤のたびに旅行気分を味わえるようなものです。
さまざまな観光地を訪れることもでき、自分の知見を広げるのには非常に良いと言えるでしょう。
また、3・4年スパンでの異動が多い大企業では、仕事や住居に飽きてしまう可能性は少ないと言えます。
定期的に仕事や同僚、住む場所が変わることで継続的に刺激を受けることができ、ある場所にとどまって同じ仕事を続ける人と比べて多くの人やモノと出会うことができるでしょう。
まとめ
今回は、全国転勤を前提とした企業で働く場合に考えられる、プライベートでのメリットとデメリットを考えてみました。
これから就職をする人は、ライフプランも含めて検討するべきでしょう。
全国転勤の有無にかかわらず、〇〇の業界で働きたい。といった思いを持つ人も多いかと思いますが、住む場所は生活の基盤になるものです。
結婚出産などで新たな家族ができると、その実感はさらに強まっていきます。
目先のことでないからこそ、両親や年配の方にも相談するなどして、後悔のない就職活動を送っていただきたいと思います。
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