スペインの魅力探究シリーズ9
日本人に人気があるスペインのカタルーニャ地方(憧れのバルセロナ)を観光する前に、2回に渡ってカタルーニャの不思議としてお送りします。
1回目としてサクラダファミリアを中心に話していきます。
クラスに一人はいる愛らしい不思議ちゃんキャラですが、カタルーニャ地方(バルセロナの人々)は、不思議な行動がいっぱいの不思議ちゃんキャラなんです。
スペインといったら、サクラダファミリアやサッカーのバルサ(FCバルセローナ)という、バルセロナのイメージを持つ人が多いと思います。
しかし、実はバルセロナの雰囲気は特別で、他のスペイン地域の雰囲気とは一味違います。
バルセロナは、カタルーニャ地方の主要都市ですが、今、カタルーニャ地方では独立運動がとても盛んです。
よって、今現在、バルセロナを語る上で独立運動は切っても切れない話となります。
そんな独特な個性も、カタルーニャ地方の魅力の一つで、不思議なところも魅力的になります。
今回は、私が調べてガイドブックには載っていないバルセロナを、観光する前に知っておきたいカタルーニャの不思議ちゃん情報を幾つか紹介します。
未完成なのに世界遺産のサクラダファミリア
皆さんご存知の「サグラダ・ファミリア」ですが、バルセロナにある1882 年に着工したアントニオ・ガウディによる有名な教会です。
現在もまだ未完成で、完成までには300年以上かかるとされていましたが、近年の発表では2026年に完成予定となっています。
サクラダファミリアは、2005年にユネスコの世界遺産に登録されましたが、当然未完成な教会、当時は、メインの建物にはまだほとんどステンドグラスもはめ込まれておらず、すりガラスのような半透明のものが仮として、はめ込まれているような状態でした。
そこで、この時に完成していた建物のみ部分的な世界遺産登録をされました。
この事態は世界でも異例なことです。
世界遺産とは、ユネスコ総会で採択された「世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約」(世界遺産条約)のことです。
広辞苑で『遺産』の意味を調べると『①死後に遺した財産。相続財産。②比喩的に、前代の人が遺した業績。』とあります。
想像してみてください
例えば、未完成の時点でスカイツリーが世界的に遺産になっている様子。
次回の2020年東京オリンピック会場(まだ未完成です)が、世界的に評価されて遺産と呼ばれる状況。
まだ作成中の何かが、既に遺産に登録されているのは、なんとも不思議に感じるのは、私だけでしょうか。
ともかく、このように考えると、未完成でも世界遺産になってしまう、このサクラダファミリアは特別魅力的だということがわかります。
ガウディの頭の中にだけある完成図
さて、完成には実に300年以上を要するとも言われていたサクラダファミリアですが、なぜそんなに建設に時間がかかるとされていたものが、150年ほどで完成するようになったのでしょうか。
まず、サグラダ・ファミリアの全貌は、設計者であるガウディの頭の中にしかなかったと言われており、ガウディの死後、たった1枚のスケッチしか、手がかりがなかったと言われています。
さぞかし、ガウディの弟子たちは苦労したことでしょう。
しかし、なぜガウディはそんな壮大な計画を建て、しかも完成図などの詳しい設計図を残さなかったのでしょうか。
その結果、完成に時間を要したようです。
また、今では科学技術が進歩し、コンピュータによる設計技術も進んでいるため、時間が大幅に短縮されています。
さらに、世界遺産に登録されていることもあり、観光客が増加して、資金調達が容易くなったことも要因だとされています。
完成予定は2026年で、この年はガウディの没後100年にあたる記念の年で、わざわざこの記念の年に合わせるため、必死で今工事が行われていることを考えると何だか面白いと思います。
どんな理由にせよ、あと数年で完成したサクラダファミリアが見れるのですから、この機会に日々、魅力的になっていくこの不思議な教会へ足を運んでみられてはいかがでしょうか。
旗と独立運動
街を観光するにあたって、様々なところで目にするのは、カタルーニャのシンボルである旗と黄色いリボンです。
このシンボルの意味を理解して観光するか、知らずに観光するかで、バルセロナの景色の見え方や安全に旅行が楽しめるかどうかが変わってくるかもしれません。
(黄色リボンの意味については次回、説明します。)
カタルーニャ州旗
スペイン国旗
スペインには、州ごとに州旗があります。
サニェーラと呼ばれるカタルーニャ州の旗は、スペインの国旗と同じく黄色と赤色が使われていて、黄金地に4本の赤の縞で構成されています。
独立運動のアスタラーダ
そして、この州旗に星が足されたのがアスタラーダと呼ばれる旗で、青色の三角形を描き、その中に白色の五芒星を描いています。
この旗はカタルーニャ分離主義者がふる非公式の旗です。
さらにこの旗は昨年から起こっている独立運動の象徴でもあります。
過激派の独立運動は、スペイン政府発行のID(身分証明書)を切り裂いたり、スペイン国旗を燃やしたり、EU共通通貨であるユーロ紙幣にマジックで独立宣言の文字を書き入れたり、街の壁なんかにも落書きして、学校などでは独立派かそうでないかでイジメがあったり、高速道路や電車の線路を占拠して封鎖したり言い出したら切りがない数々の問題を起こしています。
自分のIDやパスポートを破ったり、お札や街中に落書きしたり、そうかと思えば自分たちでわざわざ購入した国旗を燃やしてみたり、何というか、これらの行動、実は自分達が一番困るのではないのでしょうか?
観光客まで敵認定?
スペインは、世界第二位の観光大国なのですが、カタルーニャでは、観光客は歓迎されなかったりすることがあります。
独立運動は、今年に入ってからは地元住人への影響だけではなく、観光客への影響も出ています。
街の主要道路を封鎖したり、独立派が観光客と口論になり殴り殺してしまったり、観光客が乗るツーリストバスへ石を投げて何人もの人々にけがを負わせたり、国旗がかかっていた建物に放火したとかいうようなニュースも絶えません。
独立支持派は実は、観光客が大勢自分たちの州に観光にくることを、よく思っていないのです。
むしろ、鎖国政策をしてでも、カタルーニャを独立させたいという考えの人々も多いようです。
そのような人々からしたら、観光客のような「よそ者」はもちろん、外国人などは不要な存在です。
外国人を狙ったスリや恐喝なども、カタルーニャでは以前より盛んになっているようです。
もし、このアスタラーダを持っている人々が近くにいたり、カタルーニャの州旗やスペイン国旗ではなく、アスタラーダを掲げている建物やレストランに入ったりする場合は、相手を刺激しないように注意することを心掛けましょう。
スペイン語を話してくれる優しい相手ではないかもしれません。
また、人通りの少ない所を歩くことは極力避けるようにしましょう。
まとめ
バルセロナがあるカタルーニャ地方の雰囲気は特別で、他のスペイン地域の雰囲気とは一味違う魅力を持っています。
未完成にも関わらず、世界遺産になってしまうサクラダファミリアの魅力がその代表的な例です。
科学の進歩によって、建築作業の効率が飛躍的に改善され、2026年に遂に完成予定ですので、ぜひ見に行っていただけたらと思います。
(完成前と完成後の2回行くと、よく分かるかもしれません。)
また、バルセロナを訪れる際は、独立運動の最中だという事を忘れずに、いつものバルセロナ旅行よりも安全を確保することに注意しましょう。
【カタルーニャの不思議②】
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