スペインの魅力探究シリーズ8
前回に続き、スペインの魅力探究シリーズ8を、一味違ったスペインのクリスマスとして「年末と年越しぶどう編」として、お送りします。
あなたは、年越しには「ソバ派?」「うどん派?」それとも「中華ソバ派?」ですか?
はい、スペインでは全員「ぶどう派」です。
日本でクリスマスといえば、12月25、26日あたりで終了ですが、スペインでは年末年始もクリスマスの中の一部という感覚です。
スペインでは、3人の博士達が子ども達にプレゼントを持って来てくれる1月6日までです。
ここでは、スペインの文化をもっと知りたい方、クリスマスが大好きな方へ、スペイン流のクリスマスを紹介しています。
今回は第三弾【年末の過ごし方と年越し編】として紹介します。
クリスマス飾りはまだ片付けない
日本の習慣においては、クリスマスツリーは26日には片付けて、大掃除をだんだん始めていきましょうかという時期、スペインではまだまだクリスマス真っ最中です。
大掃除もありませんし、街中のネオンや各家のクリスマス飾りも、まだまだこれから活躍します。
スペインの師走は日本のように走らないで済みそうです。
年末ものんびりゆったり家族との時間が過ぎていきます。
年末行事のお節料理作りはありませんが、スペインでは31日大晦日の夕食が1日より大切なので、家族でご馳走を食べます。
例えば、カニ、エビ、七面鳥とかステーキとかです。
博士達はまだ旅の途中
冒頭でお伝えしましたが、年末は3人の博士達がやってくる旅(1月6日到着予定)の途中というところでしょうか。
第一弾でイエスキリスト誕生物語について紹介しました。
また、クリスマス期間のスケジュールも書いておきましたので、まだ読まれていない方は第一弾を先に見ることをお勧めします。
こちらからどうぞ
【クリスマス期間の過ごし方】
→https://countdown-to-heaven.com/2018/11/13/post-7975/

【サンタと三人の博士】
→https://countdown-to-heaven.com/2018/11/14/post-8117/

スペインでは、イエスが生まれた聖なる夜が24日の夜中(25日)です。
その夜、羊飼いが天使のお告げを聞いて馬小屋にやってきます。
しかし、博士はその日には来ません。
その救い主の誕生を星(天文学)によって知った3人の博士は、出発してまずヘロデ王の下へ行きます。
そして、その後輝く星に導かれイエスの元へたどり着いたのが、1月5日の夜(6日)です。
そのタイムラグが年末にあたるということです。
さて、12月28日はスペインではイノセント(イノセンテス)の日(Día de los Inocentes)と言い、嘘をついても良い日です。
日本やアメリカでいうエイプリルフール(4月1日)に当たる日です。
でも、どうして嘘(冗談)をついても良い日なのでしょうか?
考えたことはありませんか?
イノセントの日の起源
スペインのイノセントの日に嘘(冗談)をいう起源について紹介します。
実は先ほど出てきたヘロデ王が要因なんです。
25日に博士達は出発してヘロデ王の所へ立ち寄ります。
「予言されていた救い主がお生まれになったのはご存知ですか?私達はそのことを、星を見て知りました。行ってご挨拶したいので、その救世主様の居場所をご存知でしょうか?」と、ヘロデ王に聞きました。
ヘロデ王はそれを聞き、自分の統治が揺らぐかもしれないと恐怖するわけです。
自分の王国に予言の救世主が生まれるわけですから、自分の脅威になる、もしくは、国を乗っ取られるくらい思ったでしょう。
ヘロデ王はポーカーフェイスで
「自分も行って拝みたいから、救世主がいる場所がわかったら私に教えてほしい」と答えました。
(最終的に、博士はヘロデ王に帰りには合わずに帰ります。)
ヘロデ王は結局救世主の場所や名前がわからなかったので、とにかく手当たり次第に、国中の2歳以下の子ども達を皆殺しにするよう、命令を出し、大虐殺が行われました。
イエスは無事に国を脱出できましたが、イエスの代わりに多くのイノセンテス(無実の、純粋無垢な子ども達)が犠牲になったのです。
つまり、イノセントの日とは、大虐殺で亡くなった子供たちの追悼の日だというのが真相です。
この時、子供たちの親は、我が子を守ろうと役人にあれやこれやと嘘を言って気を反らそう、必死にごまかして子供をかくまおうとしたそうです。
ここから、この日に嘘をつくことが良い日=嘘をついてもいい日になったらしいです。
時代が過ぎて、冗談をいって笑い会う、冗談や嘘を信じて騙される=あなたはイノセンテね!気をつけないとね!というように変化していったようです。
年越しは12粒のぶどうで祈願
イノセントの日を過ぎると今度は、街中でぶどうが販売されているのが見られます。
スペインのぶどうは日本の巨峰よりは実が小さく、ワイン用でもあるぶどうです。
年越しにはマドリッドのプエルタデソル広場に人が集まります。
そこの時計台の鐘の音が12時を指して、12回鳴るのと合わせて12粒のぶどうを食べます。
そしてそれを食べ終わるとシャンパンで乾杯をします。
つまり、1つの鐘の音につき1粒食べます。
「喉に詰まるのでは?」と思うかもしれませんが、スペインのぶどうは種なしで、皮ごと食べるぶどうなので、楽ちんです。
さらに、詰まると思う方には、缶詰めの柔らかいぶどうもスーパーで、この日のために売っていますので、そちらを買えます。
この他にも、直接マドリッドに行かなくても、2つの方法で新年を迎えられます。
このマドリッドの広場の映像はスペイン中にテレビで中継されます。
毎年特別に司会者が選ばれ、その司会者がマドリッド広場の近くから中継を行います。日本の紅白歌合戦のようなもので、このカウントダウンが終わった後が本番のパーティーの始まりといったところでしょうか。
家族でシャンパンと食事を囲みながら優雅にお祝いできます。
各都市の市役所のあるような大きな広場でも同じようにその街の人々が集まって12粒食べながら新年を迎えることができます。
各市主催のそのカウントダウンパーティーで実際に鐘の音を聞きながら食べるぶどうは何とも良いものです。
なぜ『ぶどう』なのか
18世紀末、ブルジョア階級の人々は、フランス産のシャンパンを飲んでぶどうを食べて、大晦日をお祝いしていました。
その様子を見たマドリッドの人々は、外で集まって同じようにシャンパンとぶどうを食べるのを、真似しはじめました。
そして、その習慣が正式に定着したのはぶどうが大豊作だった1909年。
余りにも豊作でぶどうが余ったので、その豊作のぶどうを『幸運のぶどう』として、この新しい習慣のために売り出したのが今にも続いています。
12粒のぶどうは、1年の12の月を意味していて、もし、6粒しか食べられなかったら6月までが幸運、10粒だったら10月までが幸運となりますので、頑張って12粒食べて新しい1年ずっと幸運で過ごさなくてはいけないというのが共通の認識です。
まとめ
スペインでは、年末も新年もクリスマス期間の一部です。
日本のようにクリスマスツリーを片付けたり、大掃除をしたり、年越しそばを食べるのではなく、
12月28日のイノセントの日には冗談を言い合い、31日の晩に家族でご馳走を囲み、新年を幸運のぶどうとシャンパンで迎えます。
幸運のぶどうは12粒、時計台の12時の鐘の音と同時に食べるのが習わしです。
スペインで新年を迎える機会があったら、ぜひ、鐘の音を聞きながらやって見てください。
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