東京一極集中是正法案の概要
東京一極集中是正法案の概要が15日判明しました。
政府がかねてより取り組んでいた、東京一極集中の是正に向けて、地方にある大学の振興や地方での若者の就労の促進を目指す関連法案が判明しました。
一極集中是正法案のポイント
ポイントは次の通りです。
・特定の地域での大学の定員を増やすことを10年間原則として認めない。
・特定地域は東京23区と政令で定める地域とする。
・留学生や社会人の受入については例外とする。
・地方の大学の振興や、地方での若者の就労を支援する交付金を新たに創設する。
・地方の若者雇用促進へ向け、国や地方自治体は必要な施策を講じるよう努力すると明記。
大学や企業も協力努めると規定。
一極集中是正法案の成立を目指す理由
一極集中是正法案を2月からの通常国会で成立を目指す理由はなんでしょうか。
安倍総理は2014年(平成26年)9月5日に、地方創生を目指し「まち・ひと・しごと創生本部事務局」設置しました。
これまでに15回の「まち・ひと・しごと創生会議」を開いています。
昨年の12月18日総理大臣官邸で開催された「第14回まち・ひと・しごと創生会議」では、安倍総理が議論の後で「本日御説明いただきました山形県と高知県の事例は、いずれも地方大学が核となって、地元の企業や農家と連携することで地域に新たな活力をもたらすものであり、これからの地方創生のモデルとなる取組であります。
こうした取組を是非とも全国に横展開していきたいと考えています。
若者が地方で学び、地方で働き、新しいビジネスなどにどんどんチャレンジできる。
そうした地方創生に向けて、きらりと光る地方大学づくりを始め、若者の修学・就業を促進するための法案を、次期通常国会に提出いたします。
さらに、地方への大きな人の流れをつくるため、梶山大臣には関係大臣と連携して、若者が、地方にこそチャンスがあると感じられるような、従来の発想にとらわれない大胆な政策を、来年の夏を目途に取りまとめていただきたいと思います。
本日の御議論を踏まえ、総合戦略を改訂します。新しい総合戦略に基づき、政府一体となって、若者にとって夢と希望にあふれる地方の創生に取り組んでいきたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。」と述べたのです。
また、年頭記者会見で安倍首相は、通常国会を「働き方改革国会」すると宣言しました。
これらの発言した内容を具体的に盛り込んだ法案を、2月下旬の閣議決定し、通常国会の会期内に成立を目指すに至ったのです。
土俵際まで押し込まれた地域格差の是正
我が国が敗戦の痛手から、復興し東京オリンピック、大阪の万国博覧会という高度経済成長をしていた、1955年(昭和30年)から1970年(昭和45年)頃まで、地方から首都圏への人口流入は、毎年30万人から40万人ありました。
その後、収まったかに思えた地方から首都圏への人口流入ですが、1980年(昭和55年)頃から再び地方から首都圏への人口流入が始まり、バブル景気を迎える直前の1987年(昭和62年)にピークに達し、地方から首都圏への人口流入は年間で20万人に迫るようになりました。
それから、バブル崩壊と共に地方から首都圏への人口流入は再び沈静化し、1993年(平成5年)には収まったかに思えるようになりました。
しかし、1990年代後半からの都心で高層マンションの建設が盛んに行われると「都心回帰」と呼ばれる現象が起こり、1987年(昭和62年)のピーク時のような地方から首都圏への人口流入再び始まったのです。
2009年(平成21年)には、前年にアメリカ合衆国の投資銀行であるリーマン・ブラザーズ・ホールディングスが経営破綻したことに端を発した、いわゆる「リーマン・ショック」と呼ばれる世界的金融危機の影響による日本経済の低迷で、そのペースは多少緩やかにはなっているものの、地方から首都圏への人口流入は続いています。
長年の地方から首都圏への人口流入で、地方と首都圏の間には「人口格差」「所得格差」「自治体の財政力格差」等の「地域格差」が生じ、自治体の財政破綻や医師不足、集落消滅など誰の目にも見える形で現れてきました。
この現象は、特定の地方だけでなく全国津々浦々で起きている現象です。
限界集落から消滅集落になるところが続出し、日本の農林水産業は瀕死の重傷の状況なのです。
まとめ
根深い「地域格差」の原因とハードルの高い解決策はあるのでしょうか。
「地域格差」というと経済的なことばかりが気にして、すぐに大都市に比べ田舎は何が不足しているかを考えてしまいます。
しかし、地方に比べ都市圏に不足しているものもいっぱいあるのではないでしょうか。
それは、安い土地、豊かな自然、安全な食料、きれいな水、きれいな空気、人間同士の繋がり等です。
しかし、それは地方に住む決定的な魅力ではなかったのです。
現状のままでは「地域格差」はなくならないし、もっと広がるでしょう。
考え方とシステムを変革が必要なことを改めて痛感しています。
「地域格差」の是正は、どのような国家が理想なのか早急に答えを出し、その答えを実践する必要があると思います。
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